第24回被服衛生学部会夏季セミナーのご報告

第24回被服衛生学部会夏季セミナー報告
四條畷学園大学 緑川知子

 2005年8月8日から9日に神戸で開催されました第24回被服衛生学部会夏季セミナーに、ご多忙の中ご遠方から多数参加していただきましたことを心から御礼申し上げます。

 雑用に追われてセミナー室にあまり入ることができなかった私よりも、セミナー参加者はセミナーの様子をご存じであると思いますが、セミナーに参加いただけなかった部会員、HPを開いていただけない部会員にこの場をお借りして、セミナーの様子をお伝えできることをうれしく思います。

 今回のセミナーのテーマを決めるのにために、関西地区の第24回被服衛生学部会夏季セミナー実行委員会では議論を重ねました。被服の積極的な力をアピールしていこうという趣旨で、縦糸に「衣服力」を、衛生学部会にふさわしい「健康」を横糸に織り込んだ、「健康を支える衣服力」というテーマを設定できた時、被服衛生学の新しい扉が開けられた予感がしました。

 第1部「機能する衣服」(「感性と脳」-感性の脳機能イメージング-川島隆太、「ウェアラブルコンピューティングの可能性」-装着型情報機器により被服の機能はどう変わるか- 塚本昌彦、「最近のスマートテキスタイルの開発動向」 米長 粲)、第2部「衣生活で元気になろう」(「装いによる情動の活性化」小林茂雄 、「高機能型商品(健康衣服)開発と支援研究」 野尻智弘 、「災害への衣服力」 木岡悦子)、第3部「衣服力で肌を健康に」(「太陽紫外線が健康に与える影響」-有害性を知り肌対策を考える- 市橋正光、「衣服力で肌を健康に」-衣料用の健康・衛生を志向した素材(紫外線遮蔽素材他)-山崎義一、「繊維リサイクルの現状と課題」 木村照夫)とまとめました。美味しいご馳走の後味を楽しむ間もなく次々にご馳走がでて、満腹にさせすぎてしまったかなと思いました。が、講師とセミナー参加者のあいだで、今後の研究について熱い話し合いがもたれたり、次は今回の講師を自分の大学に招きたいとの問い合わせをいただいたりと、消化吸収もよかったようです。
 また、阪神淡路大震災から10年を迎える神戸で、「震災時の衣服力」を発信したいという希望がありました。木岡悦子講師の試作品を試着して会場を歩く飛び入りのファッションショーのお陰もあって、関心も高く神戸新聞に掲載されました。
神戸の美しい海と山の夕暮れを楽しみながら、部会企画の受賞式やスピーチで盛り上がった懇親会のあとも、ボーリング大会で親交を深めたり、若手の人間関係を深めるワークショップに参加したりと、それぞれ楽しくすごされました。このワークショップは初めての試みでしたが、部会企画の資金援助と諸先輩方のリードのお陰で、実り多い会となり、また開催してほしいとの要望が沢山ありました。神戸の夜景を楽しみながらカクテルグラスを傾けて、短い夜が足早にすぎていきました。

 2日目はパネル展示された研究報告に活発な質疑応答がなされて、第2部から始まりました。
被服関連の会の使用に限り会場費が半額になることもあって、神戸ファッション美術館に会場を決めたのですが、館内の展示を館員の方に案内していただくオプションツアーをセミナー閉会後に企画し、多くの参加者に喜んでもらえるというおまけがついてうれしい思いをしました。

 学生が参加しやすいことを願って学生の参加費を半額にしたのですが、学生参加は5人で、そのうち長野からの3人の学生は、夜行バスでの参加でした。学生には交通費と宿泊費が高いようです。
 セミナー参加者は、ほとんど毎回「楽しかった!役に立った!元気が出た!参加して本当によかった!来年もセミナーでお会い致しましょう!」と、外交辞令ではなく本心から、このような言葉を交わして帰路につかれます。セミナーは、楽しいことに加えて、研究・教育・日常生活に役に立つので、セミナーの日程を優先して他の予定を組んでいるのは、私だけではないようです。つまり、セミナー参加者はリピーターが多いということです。今回は部会から招待があった功労賞受賞者7人を含む正会員55人、学生会員5人、賛助会員1人、非会員2人、講師9人に付き添いやご家族・取材陣を含め参加者数は合計72人以上になりました。部会員のほぼ半分が参加してくださったことになります。
 しかし、よく考えると残りの半数の部会員は参加されなかったということです。参加者の内訳を正直に書かせていただくと、幹事と実行委員と発表者と座長等が大半を占めています。任務があるから参加してくださるのか、参加してくださる方に仕事をお願いしているのか、ニワトリが先か卵が先か、ということになります。セミナーに参加されたことが方は、是非セミナーに参加してみてください。セミナーは少人数である方が楽しいので、参加者を増やす必要はないという考え方もあると思います。が、今後は参加経験がない部会員が参加でき、近頃参加できなかった部会員も参加できるセミナーをつくることが、部会成長の鍵の一つであるかも知れません。衣服力を必要とする人々に出前講義を各地区で持つことも、起業していただくことも可能です。
 「セミナー予算案提出締切」と「家政学会誌への情報掲載」と「セミナー案内状を総会時に配る」ということを考えると、セミナーと部会とのの連絡は早めにすることが大切です。セミナー開催の仕事は毎年同じ仕事も多く、引き継ぎを上手にすることにより仕事を減らすことができます。関西地区実行委員会では、常勤の部会員と常勤のポストにつかない部会員が協力してセミナーを企画運営しました。今回のセミナーの成功部分は、参加者の力に加えて、関西地区の実行委員(50音順敬称略:井上真理、今村律子、潮田ひとみ、柴田芳江、城 真理子、杉本弘子、髙野倉睦子、田中香利、中谷 和、永井由美子、平田耕造、福本富美子、藤井まり子、細長喜久代、與倉弘子、吉田美奈子)の力によるところが大きいことを特筆させていただくとともに、実行委員長としてこの場をお借りして深謝致します。余談ですが、お掃除ロボットルンバも活躍しました♪

今回のセミナーが、部会の発展につながるセミナーになっていたら、うれしいかぎりです。

では、仙台で、そして東京のセミナーでお目にかかりましょう!