30号 総説

着衣における温熱的快適性評価
~ 主観的な”心地良さ”や”快適感”をいかに客観的に評価するか ~

深沢太香子
京都教育大学 教育学部

 1.はじめに
良好な労働環境や温熱的に快適な衣生活の実現は,着衣の熱・水分移動と密接な関係がある.そこで,着衣における人体からの熱と水分移動機構およびヒトの生理反応と温熱的快適性との関連性に関する研究は,社会的貢献性の高い学術研究として,公衆衛生学(Tochihara と Ohnaka, 2005)をはじめ,生理学(Havenithら, 2002),人間工学(Parsons, 2003)などの被服衛生学と関連する学問分野からも注目されている.
着衣の熱・水分移動特性は,物理現象として,その移動性能を定量的に論じられるものの,温熱的快適感は,ヒトの主観的評価より論じられる.そこで,ヒトの感覚が客観的に評価されるように,尺度を用いるなどの工夫がなされてきた.しかしながら,多くの研究者によって,既に指摘されているとおり(たとえば,Leeら, 2009),状態の定義と意味の理解など,その評価尺度には多くの問題が存在している.
他方,ヒトの心理状態を定量的に評価する計測技術が近年確立されて(たとえば,山口と新井,2004),この手法は,衣服が生体にもたらす効果を評価する際に活用されている(小柴ら,2010;平林,2009).そこで,本稿では,この計測技術による温熱的快適性評価の可能性について考えるとともに,温熱的快適性に関する基礎知識について,文献を交えて紹介する.さらに,温熱的快適性評価における今後の課題についても考えてみたい.

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