29巻 研究室紹介 地方国立大学教育養成系学部における研究活動

【研究室紹介】
地方国立大学教員養成系学部における研究活動

甲斐今日子佐賀大学文化教育学部 地域・生活文化講座

1 佐賀大学での研究のスタート
佐賀大学に赴任して23年になります。前任者の専門分野が文系であったこともあり、実験設備はほとんど何もないところからの出発でした。当時おむつの着用実験を実施していましたので、温湿度コントロールのできる実験室がないことは大きな課題でした。幸い、佐賀大学は規模は小さいものの総合大学です。理工学部の実験室を借用して実験を続けることができました。
このように何もないところからのスタートです。未だに、ここでご紹介できるような充実した研究施設や設備はありませんが、多くの方々にご支援いただきながら研究を進めている様子を紹介させていただきます。
2 医学部での研修と副産物
常々、衣生活と健康に関わる研究を進める上で、医学的な知識が必要であることを実感していました。そこで、1995年、文部省内地研究員研修制度を利用して、医学部(当時は佐賀医科大学)に研修に出ることにしました。新設の地方の医科大学でしたので、私のような研修生の受け入れが初めてだったこともあり、大変伸び伸びと過ごさせていただきました。そして、研修期間終了後も研究生として籍を置き、日々の仕事に追われながら、昨年やっと学位を取得することができました。
長いこと医学部での研修を続けていると、いろんなチャンスが舞い込んで来ます。8年程前、医学部の皮膚科の先生から「接触性皮膚炎の患者さんに、ハンドメイドのアクリルたわし(洗剤を使用しなくても食器が洗える)を推奨しているが、その洗浄性についてはデータがない。本当に汚れは落ちているのだろうか。洗浄力を示す実験をして欲しい。」とのお話しをいただきました。
私の研究室の学生や医学部の助手さんとはりきって実験を繰り返しました。そして、まとめた報告が家政学会誌に掲載され、企業の目に留まり、受託研究へと発展していきました。とても楽しい研究でした。写真のスポンジ、スーパーなどでお見かけになったことはございませんか?

3 今、取り組んでいる研究テーマ
さて現在は、学部ゼミ生3名、院生5名、研究生2名で次のような研究を進めています。
①ペースメーカー使用者のための電磁波シールド衣服の開発、②冷房環境と女性の冷えとの関連、③おむつの研究、④子供のアレルギーに関連するシックスクール調査、⑤ファッション性の高い衣服の生体への負担について、⑥災害弱者の生活支援について
中心に据えているのが、「電磁波シールド衣服の開発」です。電磁波遮蔽布のシールド性能の評価、疑似生体の設計と装着シミュレーション実験の確立等、物理学の研究者との共同研究で進めています。写真は、電波無響室での実験の様子です。もちろん、これも理工学部の実験室を借用しています。

実生活での事象を基礎研究で証明すること、逆に、基礎研究を実生活で応用できるようにすること、これが家政学の真骨頂だと思います。小さな研究室ですが、日々、楽しく研究を続けています。

<連絡先>
〒840-8502 佐賀市本庄町1番地
佐賀大学文化教育学部 甲斐今日子
電話・FAX:0952-28-8382
eメール: kai@cc.saga-u.ac.jp

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