25巻 特集-部会創立30周年2

【25巻 特 集】

 

被服衛生学部会創立30周年を記念して
-被服衛生学部会と私-

 

名誉会員・神戸大学名誉教授・倉敷市立短期大学名誉教授 稲垣 和子
被服衛生学部会創立30周年、誠におめでとうございます。記念の会報に寄稿させていただきますことは身に余る光栄で嬉しく存じます。

 

 つい此の間発足したように思いますのに、早や30年、月日の経つ早さに驚きと感激を覚える次第です。発足以来長い年月を部会員の一人として学ばせて頂き、多くの諸先生方にお世話様になりましたこと有り難く厚く御礼申し上げます。

 

 さて、顧みますと、母体である家政学会が設立されて55年になりますが、最初に研究委員会(現在の部会)が発足したのは被服整理学(矢部章彦先生御提唱)でした。当時染料の研究に携わっていた私はすぐ入会し、セミナーに毎年出席し協議にも参加していました。次いで被服構成学研究委員会が要望により発足、被服衛生学はその中の一分野(第4部門)として所属を認められるにすぎませんでした。悲しい想い出です。これらの経緯は会報15号に記述の通りですが、昭和51年10月渡辺ミチ先生、水梨サワ子先生のご盡力により無事に独立、被服衛生学研究委員会として発足しました。その頃、私は医学部衛生学教室で、衣服の体温生理学に関する実験的研究に取りかかっていましたので、涙が出る程感無量でした。昭和55年に被服衛生学部会と改称、昭和56年には部会報創刊号が発行されました。

 

 継続は力なり! 昭和57年からは毎年セミナーが開催され、今夏は24回目を迎えられますこと、ご同慶の至りです。会員数も増加し、セミナーでは全国からあい集い、研究発表、協議討論が続けられてまいりました。喜ばしい限りです。私の感慨深い想い出としては、やはり責任ある立場でお世話を致しました第2回の於神戸国際会議場と、第17回の於倉敷ファッションセンターでのセミナーでしょうか。その折には多くの方々のご支援を頂き、相当の準備期間を要しましたが、近代的設備の整った会場で、無事に終了する事ができましたこと、改めて厚く御礼申し上げます。

 

 想えば私と被服衛生学との出会いは、昭和25年に緒方洪平先生の特別講義聴講によりますが、直接のご指導は願っても叶えられぬことでした。但し”求めよさらば与えられん”で、10年後に神戸大学医学部戸田嘉秋先生の許でご指導を仰ぐことが許され、爾来長い間恩恵を蒙ることができました。新鮮な未来に向けての研究領域として、基礎から学ばせて頂きましたことは大きな喜びでした。今でこそサーマルマネキンは珍しくもありませんが、戸田嘉秋先生は日本で最初のサーマルマネキン創製の医学研究者です。その人体により被服各種のclo値を測定考察を重ねました。模型人体は南極越冬隊の越冬用被服の作製のために文部省から依頼をうけ、特別に創製された等身大銅製模型人体です。非常に精巧且つ正確であり、現在も実測可能、研究用として始動中です。衣服の保温力を推定する一般法則を見出すような精密度を必要とする実験は、サーマルマネキンによる測定法によらねば優れた値を得ることは極めてむつかしいと思います。寝具類(含む電気寝具)、和服、季節別成人男女衣服、毛皮類、各種民俗服、他・・・の保温力測定を行い、測定値を勘案して、衣服の保温力基準値の推定に関する実験的研究の論文を発表いたしました。新知見を得ることの喜びは何物にも勝ると実感、自信を得た次第です。またW.H.O.関係の依頼による全国的着衣調査に参加。小、中、高、大学生の着衣現状調査考察など、種々の環境温熱条件下での着衣実態は、時代の推移による変動もあり、少なくとも10年間隔で継続調査の必要があると私は考えます。本部会で共通研究課題として調査研究をされますことを希望いたす次第です。

 

 30周年を迎え、被服衛生学の発展は非常にめざましいものを感じますが、真の健康衣服を目指し、快適で心豊かな生活を理想に、後進の方々のご研究を期待してやみません。部会の益々のご発展を願い、皆様のご健康とご健勝を祈り、お慶びの言葉とさせて頂きます。

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