22巻 研究室紹介-独立行政法人産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 感覚知覚グループ

【22号,研究室紹介】

 

独立行政法人産業技術総合研究所
人間福祉医工学研究部門 感覚知覚グループ

 

独立行政法人産業技術総合研究所 都築和代

 

1.はじめに

 

2001年1月に通商産業省工業技術院15研究所は独立行政法人産業技術総合研究所として再編された。旧生命工学工業技術研究所の人間生活工学に関わる研究部は、機械技術研究所医用・福祉に関わる研究部とともに、4月1日に人間福祉医工学研究部門となった。感覚知覚グループは、「感覚知覚における標準データの確立と高齢社会対応の環境評価技術の開発」を行う。つまり、生活環境の安全性、機能性、快適性の向上には、人間の感覚知覚特性に関するデータが必要不可欠であり、特に、高齢者に優しい環境評価・設計には加齢による特性変化のデータが必要とされていることから、当研究グループでは、ISO、IEC、CIE、JIS等の国内外の標準機関との連携を通じて、これまで未整備の感覚知覚における標準データの確立と高齢社会対応の環境評価技術の開発を行っている。感覚知覚グループ内のメンバー構成は視覚研究者3名(うちポスドク1名)、聴覚関係の研究者5名、温熱2名(うちポスドク1名)であり、それぞれの分野で必要な実験設備を有する。

 

2.実験設備について

 

人間福祉医工学研究部門 感覚知覚グループは、つくば中央第6事業所に所属し、6-9の建物に居る。温熱研究の実験設備としては人工気候室を保有している。人工気候室のスペックを表1に示す。

Table1
これ以外に、前室と寒冷試験室に隣接する計測室を持つ。そこでは人工気候室の制御盤が設置され、実験機器類が保管されている。また、計測室から実験室内の監視が可能であり、分析スペースとしても使用される。人工気候室の主な用途は、温熱環境要素が人体の生理心理反応に及ぼす影響を解明するためのデータ収集を行うことである。

3.研究スタッフについて

 

 常勤研究員は現在都築1名であるが、NEDOフェロー水野一枝が常時研究に携わるとともに、3名の非常勤職員が補助業務を行う。また、必要に応じて客員研究員や公設試の研究員などが研究に携わる。

 

4.研究内容について

 

ここ数年間のテーマとしては(H13FYまでのものとしては)、3つ挙げることができる。
(1) 日常生活における睡眠に関する研究 -快眠技術の開発-

 

(2) 高齢者の温熱感覚特性に関する標準基盤研究

 

(3) 動的温熱環境評価に関する研究 -局所温熱感受性の解明-

 

独立行政法人化前には科研費のような個人研究費への応募すら不可能であったため、当然、上記3つは科学技術庁、通産省のものであり、ミッションオリエントな研究である。

 

研究内容に関しては学会などで発表や論文という形で公表中であるが、要約すると以下のようなデータをとっている。(1)は就寝する温熱環境要素が人体の体温調節反応、睡眠構築、ならびに主観申告へ及ぼす影響を明らかにするものであり、実験室実験において青年男子を中心に高齢者を含め延べ100データ以上を取得した。また、住宅内における睡眠温熱環境、就寝時の寝床内気候、ならびに居住者の主観申告についても夏季冬季について40データ以上を取得した。(2)は高齢者の温熱感覚特性に関しては、中等度温熱環境における評価方法を検討するために、体温調節反応、および、主観申告について青年男女および高齢男女400データ以上を取得した。(3)の動的温熱環境とは床暖房など不均一環境を意味する。局所温熱感受性として、中等度環境において身体の局所の感覚を暖かさ、冷たさを感じる閾値、触覚・痛覚特性に関して、高齢・中年・青年男女について80データ以上取得した。

 

H14は都築が企画本部に出向中であることから、水野が中心となり、夏期における高齢者の快適温熱環境について、就寝環境実測と実験室における気流の影響についてデータ収集を行っている。

 

5.その他
はじめに記したように独立行政法人化に伴い、研究体制は改変され、ミッションに沿った成果が研究者には要求される。これまで同様に基盤データの蓄積に務めながら、JIS化、ISO化を図っていくとともに、今後は企業等との連携を深め、産業技術に役立つ研究やデータ収集を推進するとともに、製品開発などにも携わっていきたいと考える。この場を借りて、私どもの研究にご興味のある方は、是非、ご連絡いただきく、お願い申し上げます。

 

連絡先:〒305-8566 つくば市東1-1-1 中央第6
TEL:0298-61-6619(実験室6639、都築6748)
FAX:0298-61-6621
email:k.tsuzuki@aist.go.jp

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