22巻 海外レポート

【22号、海外レポート】

 

California大学とGuelph大学での研修留学記
              
                                                            福岡教育大学 長山芳子

 

1.はじめに

 

 私は文部省在外研究員として,「衣生活に関する比較研究」というテーマで2000年10月から10ヶ月にわたり,アメリカ合衆国California大学Davis校(以下UC Davis)とカナダ国Guelph大学で研修してきました。この2大学に決めたのは1987年当時に数カ所訪問した中で学科と生活環境の印象が良かったからです。当時知り合ったGuelph大学Dr. Anne Wilcockに主な受け入れ先になっていただき,UC Davisでは当時の教授は退職されていたので,面識のあったMargaret Rucker教授に承諾をいただきました。こうして始まった研修留学と衣生活の一端をご報告します。

 

2.UCDavisについて

 

 UC Davisのあるデイビス市はCalifornia州都サクラメントの西にあり,人口6万6千人に対し学生約2万6千人の典型的な学園都市です。古くから住んでいる知人は「振興住宅街が増えて住み難くなった」と嘆いていますが,私は早朝や日没に出歩くことができて非常に治安が良いと思います。

 

 研修先のDivision of Textiles and Clothingは, College of Agricultural and Environmental Sciencesに属し,Textiles and ClothingとFiber and Polymer Scienceの2分野があります。Textile and Costume DesignはDesignに移動していました。

 

 研修環境として,UC Davisは留学生や訪問研究員の受け入れ体制が整っています。キャンパス内ではSISS(Services for International Students and Scholars)によるガイダンス,キャンパス外ではInternational Houseの市民と学生ボランティアによる各種講座・ツアー・親睦会などがあり,私もこれらに参加しました。   (写真右がRucker教授)

 

 服装に関しては,訪問当初の10月は晴れると気温が27℃近くまで上昇し袖無しT-シャツ1枚で過ごすことができましたが,雨が降ると気温は9℃まで下がりセーターが必携でした。知人のタンスにいわゆる夏服と冬服が混在しているのも納得です。11月には霧がかかり,12月に入ると気温は3~12℃となりジャンパーやコートを着ていました。セーターを重ね着している学生に混じって,鳥肌を立てながら半袖シャツで頑張っている学生を見かけた時には,着心地を尋ねたい衝動に駆られました。

 

3.Guelph大学について

 

 Guelph大学のあるグエルフ市は,オンタリオ州の南東部に位置し人口は約10万人です。Guelph大学は1964年設立された総合大学で,学生数は約1万5千人の規模です。私の研修先はCollege of Social and Applied Human Sciences のDepartment of Consumer Studiesです。この学科はかってFoods,Housing,Textiles,Clothing,Consumer Behaviorに分かれていましたが,現在はMarketing ManagementとHousing & Real Estate Management の2分野です。

 

 Guelphに到着した2月上旬は吹雪いており,5時間前に出発したCalifornia州の気候とは大違い。マイナス10℃に対応する服が無く,早々にフード付きコートとスノーブーツを購入しました。3月に入っても積雪があり歩行は疲れるのですが, 降ってくる雪の結晶は素敵でした。5月になると気温の変化が激しく,曇ると10℃近くに下がりますが,晴れると          (写真右がDr.Anne Wilcock)

 

30℃を越える日があり,カナダで蒸し暑さを経験するとは思いませんでした。6月に入ると日照時間は長くなり,夜9時過ぎても散歩できるくらいの明るさで,戸外で涼をとっていました。

 

4.調査について

 

 人間を対象とした調査や実験を行う場合,大学に実施許可申請が必要になっています。これは被験者の権利と福祉の保護のためであり,UC Davisでは2000年10月1日以降に実施する調査や実験は全て,その計画と被験者への対応を示した書類を被験者審査委員会に提出することが義務づけられました。私たちの調査は,無記名であり追跡調査を行わない,対象者の人権や就職に不利にならない等と記載した書類と調査用紙を提出して,実施許可を得ました。Guelph大学でも同様でした。帰国後に科研費申請書を見ると,2001年度から人権および利益の保護の取り扱いについて,計画の講じる対策・措置状況を具体的に記入する項目が導入されていました。対象者保護は全ての調査に求められるものであり,学生が実施する調査の場合にも指導をしようと思っています。

 

 アンケート実施は,両大学とも,事前に調査日程を提示して,協力学生を募ることから始めました。調査はもちろん授業以外の時間に実施です。ポスター掲示だけでは学生数が集まらず,いくつかの授業で,成績評価に加味してもらったりあるいは勉学上有意義であることを説明してもらって,やっと計画していた数が確保できました。

 

5.終わりに

 

  今回の研修では,研究調査はもとより日常生活でも,数多くの好意に助けられました。また,多くの研究者そして市民の方々と交流し,親友と呼べる友人ができました。旧来の知人との再会も果たせました。

 

電話やテレビ会議も便利ですが,直接会うことが大切です。目を合わせて同じ空気を吸うことで,言葉の壁を越えて理解し合えるものが多いことを,改めて実感しました。

 

 最後になりましたが,お世話になった皆様にお礼申し上げます。

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