21巻 海外レポート-2

【21号,海外レポート】

 

第19回国際家政学会ガーナ大会に参加して

 

文化女子大学短期大学部 岩崎 房子

 

国際家政学会(International Federation for Home Economics,)第19回世界大会が平成12年7月24日~29日の6日間にわたり、西アフリカのガーナ共和国首都アクラ市ガーナ国立大学を主会場として開催された。

 

参加登録数は大会参加国35カ国・440名、日本からの参加者は54名で主催国ガーナ、アメリカについで多数を占めていたようである。わが被服衛生学部会員は顧問の大野静枝先生、前部会長の田村照子先生、現部会長の伊藤紀子先生、猪又美栄子先生、磯田憲生先生、そして私の6名が参加した。

 

大会は基調講演と研究発表・地域別会議・家庭訪問・エクスカーションなどの内容で行われた。基調講演のテーマは「人的資源開発における家族・家庭の強化」「家政学の拡大する役割-家族と家庭の擁護について-特に農村家庭と‘世界村(Global Village)’」「生活の質の向上、人権強化における家政学の役割の拡大-開発政策への課題-」であった。

 

研究発表論文は171篇、日本人の発表は17篇、内被服分野の発表は4件、いずれも被服衛生学部会員関連の研究発表であった。以下に発表者とタイトルを示す。

 

T. Sakai, T. Tamura, T. Okihara, M. Nagayoshi: Micro climate under brassiere of a subject who as undergone the operation for breast cancer (口頭)

 

N. Ito, T. yamada, Y. takanashi, R. santo: Clothing pressure and hygienic function of an obstetrical binder for the pregnant Women (ポスター)

 

F. Iwasaki, T. tamura: Thermo-physiological response of foot the shoe and the whole body health(ポスター)

 

T. Hayashi, Y. Matsuyama, H. Takabu, T. Omura, M. Inomata: Trends and direction in the textiles clothing programs in Japanese colleges (ポスター)

 

私は今までにアメリカ、ドイツ、そして今回のガーナ大会と3回の国際家政学会に出席している。とはいっても、ほとんど語学力に乏しい私はたんに大会というお祭りを楽しみにいったようなもの。ましてや、基調講演のテーマにもあるように大会は『家庭・家族・人口・人権・教育』に関する内容が中心であるからい言わずもがな、である。しかしながら特にアフリカのガーナなどへは何の目的でもなければ決して行くことのない国である。ヨーロッパやアメリカと違って情報がほとんど入ってこないアフリカのガーナとはいったいどんな国なのか、興味半分で参加したというのが偽らざる本心であった。

 

自分の研究発表の時間以外はほとんどエクスカーション、アクラの市内見物、家庭訪問、会場内に特別開設されたインターナショナルマーケットでのお土産物色と毎日忙しい日程を存分に楽しんだ。

 

ガーナは西経1度、北緯5度アフリカ大陸の西部に位置する国で、開催地アクラは象牙海岸へと続く大西洋に面した町である。アクラにはオランダ経由で入国した。ガーナの7月は雨期ということもあり気温が一年の中で一番低い(平均28℃)。アフリカの、しかも赤道直下の国。かなりの暑さを覚悟していたのだが思いの他しのぎやすくて驚いた程だ。東京のほうがよっぽど暑い。ところが湿度は90%と非常に高い。さわやかなオランダから入国したこともあり、アクラコトカ空港についたときは一段と湿っぽさを感じた。そして洗濯物の乾きの悪さでさらに湿度の高さを実感した。印象に残ったガーナでの1週間を紹介する

 

家庭訪問:訪問先は高等学校の先生のお宅で、伺ったのは構成学部会の大村知子先生(静岡大学)、フィンランド国立消費者センターの研究員の方と私の3人。ガーナ大学からタクシーで約20分のところで、周りはかなり高級住宅地のようだ。ご主人は単身赴任中であいにく不在だったが、私立高校へ通うお嬢さんと2人の男の子、そして家庭教師の先生と、お嬢さんのお友達が快く迎えてくれた。

 

庭に植えられたアーモンド、レモン、椰子、など南国のフルーツの木々を私が珍しそうにしていると、まだ食べるにはちょっと早そうな実を採ってきて、恥ずかしそうに見せてくれたお嬢さん。そのお嬢さんはタクシーで通学しているとのこと。これは特別のようである(町の乗合バスには制服を着た多くの生徒が乗っていた)。ちなみにガーナでの教育事情は非文盲率70%と西アフリカ諸国の中では高く誇りとされていたが、特に1980年代に入り経済情勢などを反映して、厳しい教育事情となったようである。最近は経済再建とともに教育の関心も高まっているが、義務教育の就学率は6割強と高くない。

 

小学生の男の子はエレクトローンを買ってもらったばかりと見えて、一生懸命恥ずかしそうに引いてくれた。夕食をご馳走になり、あっという間に予定の時間が過ぎ、家族全員でタクシ-乗り場まで送っていただいた。躊躇した家庭訪問であったが、訪問することでガーナの家庭(一般的家庭ではないが)を垣間見ることが出来、貴重な体験をした。

 

エクスカーション:行き先はケープコースト。英国の植民地だったころの首都。ケープコースト城は当時総督府として使われていたところ。ケープコースト城塞はユネスコの世界遺産に登録されており、真っ青な海と眩しい程に白い建物が対照的でとても印象深かった。現在博物館となっているケープコースト城は奴隷貿易が行われたところであり、城内の地下室に奴隷たちが1ヶ月から2ヶ月の間押し込められ、その後地下道を通って奴隷船の停泊する海岸までつれていかれたとのことである。実際にその場に足をはこんでみると、奴隷が出港まで閉じ込められていた部屋やどのようにして新大陸まで運ばれていったかなど生々しく、その凄まじさを引き起こさせるものがあった。

 

ショッピング:ガーナでの為替レートはインフレのためドルとの交換率は1ドル約4000セディ(1998年は2320セディ)であり、100ドルも両替すると財布の中は入りきれないほどのお札で一杯、一瞬金持ちになった気分である。それもそのはず通貨の種類はとして、紙幣は5000、2000、1000セディ、硬貨は500、100、50、10セディがあり、なかなか大きい紙幣は交換してくれない。ちなみにミネラルウォ-タは約1500セディであった。ショッピングはほとんどガーナ大学の敷地内に設けられたインターナショナルマーケット、市の中心街にあるアートセンターでほとんど済ませた。このいずれもガーナの代表的なお土産物が揃っている。特に目を引くのがケンテである。最初は日本人好みの比較的渋い色合いの物を選んでいたが、1週間も滞在すると黄、赤、青といったはっきりした組み合わせのものがよく見えてくる。ケンテは昨年のオリンピックの入場行進でガーナの選手が身にまとっていたものだ。特に、青い空、赤茶色の大地、そして黒い肌には黄色味の多いケンテはよく似合う。ケンテの他に私が買い求めたものは染色品とアクセサリー。ショッピングで面倒なことは値段の交渉。品物には一応値段はついているがかなり高くつけられている。一般的には交渉次第で3割から5割近く値引く。全て交渉次第であるため、気の弱い人は同じ物を高く買う羽目になる。同じことがタクシーに乗るときもある。一般のタクシーにはメータがついていない。ホテル、大学ではベルボーイやガードマンが交渉してくれる。一度乗ると金額がわかるので、帰りは自分で交渉する。いちいち交渉の生活はわずらわしささえ感じた。

 

あっという間に1週間が過ぎ、ガーナを後に再びオランダに向かった。オランダでは研究室の小柴朋子さん、大学院生の姜 仁享さんと落ち合った。1日アムステルダムの見学、特にゴッホ美術館を見学した。美術館の中に寿司バーを見つけ、久しぶりにお寿司と味噌汁を賞味した。その後、田村先生、小柴さん、姜さんの3人は第9回国際環境人間工学会出席のためドイツのドルトムント市へ向かわれた。

 

先生たちと別れた私は今回一緒に参加した娘と2人でオランダ、ベルギーを旅した。初めての2人旅、何もかも娘に頼りきり、このときばかりは成長した子供を頼もしく感じた。旅の最終日、オランダアムステルダム国際空港で田村先生に再会した時は安堵の気持ちで一杯であった。かくして、学会参加とオランダ、ベルギー18日間の旅は終了した。

 

尚、第19回国際家政学会ガーナ大会の報告の詳細は家政学誌Vol. 51 No. 12, 1175 -1189 (2000)に掲載されている。20回大会は200481日~7日に京都で開催される。是非皆で参加しませんか。

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